結線は電気工事の中で最も重要な工事だといわれています。

結線とは、電気工事を行い、各回路の配線が完了したあとに電線同士をつなぎ合わせせることです。回路を正しく配線しても、この結線作業が正しく行われなければ、スイッチは正常に働きません。場合によっては、ショートを引き起こしてしまい、思わぬ事故につながってしまうこともあります。

この記事では、スイッチの種類別に結線の方法について紹介します。
結線作業を行うためには、電気工事士の資格が必須ですので、一般の方が行うことはできませんが、仕組みを理解いただくことにより、不具合の際などに目星をつかんでいただきやすいかと思います。

▶目次

1、電気工事で基本となる結線

電気工事~スイッチ結線の基本形と結線に使用する材料
オフィスの壁スイッチの配線工事について紹介します。

片切スイッチ結線

最も基本的な照明の結線です。

片切スイッチの結線を行うには、以下の3つの手順を踏みます。

  1. 電源(分電盤)から、AC100V電源のプラス側を片切スイッチに入れます
  2. 電源(分電盤)から、AC100V電源のマイナス側を照明に接続します
  3. 照明の片方を、スイッチと接続します

これによって、分電盤とスイッチと照明が一本の線でつながりますので、結線作業は完了します。

三路スイッチ結線

三路スイッチとは、一つの照明器具に対して、連動した二つのスイッチが接続されているスイッチのことです。
三路スイッチの結線は以下の手順で行います。

  1. 電源(分電盤)からAC100Vのプラス側を片方のスイッチに接続する
  2. 電源(分電盤)からAC100Vのマイナス側を照明に接続する
  3. 照明を、1で使用したものとは反対側のスイッチに接続する
  4. 結線同士を接続する

4路スイッチ以上のスイッチについても、三路スイッチの考え方と同じです。電源のプラス側を一つのスイッチに、そしてマイナス側を照明に配線し、スイッチ同士を接続します。

応用方法はさまざま

以上が基本的な結線の方法です。結線は、例えばパイロットランプ、接続スイッチ、切り替えランプ三路スイッチの同時接続など、さまざまなパターンがあります。

しかし、全てこの基本の結線が土台となっています。

2、結線に使用される材料

電気工事~スイッチ結線の基本形と結線に使用する材料
結線に使用される材料について紹介します。

接続コネクター

結線をする際に、現在最も主流となっている材料が接続コネクターです。
かつては、結線を行うには電工ペンチやプレスが必要とされまましたが、接続コネクターを使用すればコネクターに差し込むだけで工具を使う必要なく結線できるようになりましたので、非常に便利になりました。

中でもワゴジャパン社製のWAGOコネクターが一般的に利用されています。

非常に手軽ですが、使用方法を誤ると大きな事故につながります。
使用する際には指定された長さの分だけ電線被覆を剥く必要があります。短く剥くと接続不良になりますし、長く剥くとショートの原因になります。

また、ケーブルの接続が甘い場合には、接触不良を起こしてしまいます。接触不良も最悪の場合には発火や爆発につながる恐れがありますので、非常に危険です。

ジョイントボックス

結線の電気工事の最後に取り付けるのがジョイントボックスです。アウトレットボックスとも言います。

電線の引出しや配線器具・コンセント類・照明器具・電話など電気器具類の取付けに使われるものであり、安全に配線するために必要なものです。設置しないからといってすぐに大きな事故が起こってしまうというものではありませんが、電気設備技術基準にも設置することが義務付けられており、非常に重要なものです。

リングスリーブ

リングスリーブとは、電線同士を接続する際に使う鉛製・筒状の接続用部材のことです。被覆を剥いだ芯線複数本を差し込んだリング部を圧着して、電線を相互接続します。接続が完了したら、テープもしくはトーメーキャップを使って、絶縁します。

接続する電線の太さや本数によって、大・中・小の3つの種類があります。

圧着をする際には、専用の工具(リングスロープ用圧着ペンチ)を用います。

リングスロープによる圧着作業は非常に重要であり、これが行われない場合には、強度不足による断線や電線相互の接触抵抗の増加によって、接続部分が過熱してしまい火災に発展することがあります。

3、まとめ

この記事では、電気工事のスイッチ結線について紹介しました。

結線は、電気工事の中で最も重要な工事といわれている通り、適切に処置されない場合には断線してしまうばかりか大きな事故にまで発展してしまいます。

結線の作業は、電気工事士の資格が必要な作業なので、専門業者に依頼することになりますが、電線の接続部分にそれだけ重要かつ危険性の高い作業が存在することを把握しておくことは重要です。また、ジョイントボックスの設置など、必要な作業を省略する電気工事業者も存在するようですので、工事が正しく行われているかをチェックすることも重要です。